ALL FOR ONE

アクセスカウンタ

zoom RSS [書評]昭和16年夏の敗戦

<<   作成日時 : 2011/08/11 00:39   >>

ブログ気持玉 0 / トラックバック 0 / コメント 5

1ヶ月以上もかかってようやく読み終えました。1週間程度で1冊読むのが私的には理想的だけど、数少ない暇時間ではそれも難しいし、ましてや、暇時間は基本的に通勤時間なので、寝てしまうことも多い(電車通勤なので)。「では、本を読む時間を作れば良いのでは?」という意見もあるけれど、ブログやら、Twitterやら、ニュースなど、情報源(情報と呼ぶべきかどうかは置いとくとして)が多様化した今日では、どうしても「広く・浅く」となってしまうのは致し方ないだろう。

さて、この本はには日本の悪しき習慣で克服しなければならない問題が提言されている。
かつて日本帝国が真珠湾奇襲・アメリカに宣戦布告したのが昭和16(1941)年12月8日、終戦が昭和20(1945)年8月15日。しかし、本書のタイトルは「昭和16年夏の敗戦」である。開戦前に敗戦とはいったいどういうことなのか?

本書を読んで初めて知ったことだが、当時総力戦研究所なるものが内閣総理大臣直轄の元で緊急で創設されていた。この研究所の詳細については本書または専門書などに譲るが、自分の理解のでは、日本とアメリカが戦争を行ったらどうなるか?を研究する組織である。机上演習(シミュレーション)の結果は日本必敗。
この結論に至ったのが昭和16年8月だったので「昭和16年夏の敗戦」というわけである。

日本には資源がないのだから、アメリカのような大国と戦えばシミュレーションなどせずとも敗北は予想はできそうである。なのになぜ戦争に踏み切ったのか?本書によれば、そういう空気が場を支配していたということである。日本に備蓄されている油や資源の量は事実より多めに見積もられた。また開戦後の油・資源の調達(東南アジアからの)は非常に楽観的に見積もられた(実際は輸送船の殆どをアメリカの潜水艦に撃沈された)。そして最後は「大和魂」である。場の空気に抗うことができなかったのである。このような非合理に基づく楽観的な見通しが開戦へと導いたのである。

本書を読み終えた後に福島原発で発生した悲劇的な事故を振り返ってみると、ビックリするほど似ていることがわかる。そのままトレースしたと言っていいかもしれない。日本の原発政策の過ちとは「原発は壊れない」「事故を起こさない」ことを前提とされ、事故に関する議論も(本来あるべき)リスク管理もタブーにしてしまったことである(と、思う。)
「壊れない」「事故を起こさない」などというのは非論理的・非科学的・非合理な甘い認識である。このようなことを続ければ、何れ大きな事故を起こすであろう事は予測できることだ。

恐らく、彼等(当時の原発推進派の政治家・官僚)はわかっていたはずである。口には出さないけど本音ではそう考えていたはずだ。なのになぜそのようになったのか?彼らは原発反対派からの攻撃(反論材料)を避けようとするあまり、真実から目をそむけてきたのである。
残念ながら我々は約70年前に犯した過ちは生かされることなくまた繰り返してしまったわけである。

と、まあこのように本書では「日本人の本質(の片鱗)」を客観的に知る上でも有意義であると思う。また、本書がオススメできる根拠の一つに、徹底した調査を元に作成されていることである。著者猪瀬氏による当時の「総力戦研究所」のメンバーへのインタビューや彼らの残したメモ、当時の新聞、その他膨大な資料から物語をつくられた十分に読み応えのある一冊となっている。

P.S.
「歴史は繰り替えされる。過去を見れば未来を予測できる。過去とはすなわち未来なのだ」という誰かの台詞を思い出した。原発=悪、自然エネルギー=善という勧善懲悪的な形で原発をスケープゴートにして「自然エネルギー」を原発の代替とするやり方は、再び同じ過ちを繰り返す可能性があることは言及しておかねばなるまい。
「愚者は経験に学び、賢者は歴史に学ぶ」である。

昭和16年夏の敗戦 (中公文庫)
中央公論新社
猪瀬 直樹

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 昭和16年夏の敗戦 (中公文庫) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

突破する力 (青春新書インテリジェンス)
青春出版社
猪瀬 直樹

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 突破する力 (青春新書インテリジェンス) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル

言葉の力 -   「作家の視点」で国をつくる (中公新書ラクレ)
中央公論新社
猪瀬 直樹

amazon.co.jpで買う
Amazonアソシエイト by 言葉の力 -   「作家の視点」で国をつくる (中公新書ラクレ) の詳しい情報を見る / ウェブリブログ商品ポータル



テーマ

関連テーマ 一覧


月別リンク

ブログ気持玉

クリックして気持ちを伝えよう!
ログインしてクリックすれば、自分のブログへのリンクが付きます。
→ログインへ

トラックバック(0件)

タイトル (本文) ブログ名/日時

トラックバック用URL help


自分のブログにトラックバック記事作成(会員用) help

タイトル
本 文

コメント(5件)

内 容 ニックネーム/日時
べっ、べつにアンタのために教えるんじゃないからね!(*´ω`)★ http://gffz.biz/index.php
まほち
2011/11/12 15:17
べっ、べつにあんたなんかに興味は無いんだからね!(人・ω・)☆ http://ktjg.net/index.html
にゃん
2011/11/20 04:12
ぬいた(*´ω`)♪ http://jn.l7i7.com/
ありません
2011/12/21 21:17
ぬいた(*´ω`)☆ http://www.64n.co/
わかりません
2012/02/05 01:48
挿入できるよ(人・ω・)♂ http://m-s.e29.mobi/
ありません
2012/02/05 15:02

コメントする help

ニックネーム
本 文
[書評]昭和16年夏の敗戦 ALL FOR ONE/BIGLOBEウェブリブログ
文字サイズ:       閉じる